エッセイ「わたしのクリスマス」
畑瀬牧人
今でこそ全世界で祝されるクリスマス。でも聖書によると、お生まれになったばかりのイエス・キリストとお会いできたのは、ごく少数の人でした。その中に、羊飼いたちがいました。野宿しながら羊の群れの番をしていた、貧しい人たちです。
主の御使いがキリストの誕生を最初に告げたのが、聖書に名前すら出ていない羊飼いだったことは驚きです。
私が高校3年生の時、今後どう生きていこうかと悩みました。人と自分を比較して、「自分はなんてつまらない人間だろう」と思い詰めました。心が真っ暗になり、人生に希望がもてませんでした。
そんなある時、ふと「祈ろう」と思いました。でも、両親や姉に祈っているところを見られたくなくて、押し入れに隠れて、「神様、神様」と祈っていました。
1カ月ほどたった時、祈っていると突然、涙があふれてきました。熱い情動で心の中がいっぱいになり、押し入れで声を上げて泣いていました。
その時から、見える景色が明るくなりました。状況は何も変わっていません。ただ、私の内側には充実したエネルギーが満ちていました。神様を賛美せずにおられない喜びがみなぎりました。
キリストにお出会いしたあの日こそ、私にとってのクリスマスでした。
本記事は、月刊誌『生命の光』2019年12月号 “Light of Life” に掲載されています。