エッセイ「天使の夢」
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4人娘の次女・咲喜(さき)が登校前、おなかが痛いとぐずった。「こっちをむいて」のシグナルだった。
ある日、聖書のお話をした。「ヤコブさんはね、けんかして逃げ出して、ツラーイ時、石を枕にして眠ったの。そうしたら、天使がはしごを上り下りする夢を見たのよ」
それから毎日、おなかに手をおいて祈った。
ずいぶんたって、次女が突然、石を枕にして眠るヤコブさんの絵を描いた。野外のはずなのに、なぜかあったかそうな布団も……。
気がつくと、「行ってきまーす」の声が大きくなっていた。
文・加藤芳香